むかし、ちょっと堅いものを投げてぶつけてしまい、下級生を泣かせてしまった3年生の男の子がいました。
彼は、怒り心頭になった相手が近づいてくると、とにかく逃げ回ります。
しかも、彼の口から出る言葉は
「謝らん!」
「俺は悪くない!」
なのです。
こんな風に、「やってしまった!」時に「謝る」どころか「逃げ回り」、挙句の果てに「悪びれもしない」子どもっていないでしょうか?
こんな子どもを目の前にした時に、どう対応しているでしょうか?
さて、彼はその後
「いいもの見つけた」
と言って、まるでナイフのような薄くて鋭く尖った石を手にぎゅっと握りしめていました。
そして、相手が近付くとナイフを構えて応戦しようとするのです。
そんな彼を見ていると、とっても切なくなりました。
「武器を構えて戦おうとする」
ということは
「相手が自分を攻めて/責めてきて”怖い”」
と、感じているように見えたからです。
彼は今まで、それだけ「(自分が)悪い」と責められ続けてきたんじゃないかなと思います。
そしてその結果、彼のライフ(生命力)はもうゼロになってしまっていて、これ以上「自分が悪い」なんて”自分で認めてしまった”ら、彼のライフはマイナスになっちゃって苦しくてたまらなくなっちゃうような状態なんじゃないかな?だから「謝らない」のではなくて「謝れない」んじゃないかな?と思います。彼はいっぱい傷ついてきてもうボロボロなように見えました。
そして、本当はそうやって怖い時や不安な時にこそ、誰かに守ってほしいはずなのに、責められてばかりで今まで誰も守ってくれなかった…
だから逃げ回って逃げ回って…ナイフのような鋭い石に自分の身の安全を託すしかないんじゃないかなと思いました。
きっと、彼は、「相手を攻撃したい」のではなくて「自分を身と心を守るのに必死」なだけなのだと思います。
だから
「悪いのはあなたでしょ」
「『ごめんね』って言いなさい」
「そんなもの持ったら危ないでしょ」
「危ないからそれは渡しなさい」
なんて、言葉はかけられません。
ただ、私は子どもに相手を攻撃に備えるためのナイフを持たせたくはありません。
だからこそ、彼がナイフを持たなくていいように…ナイフの代わりにこの子を守ってくれる人になりたいなと思います。そういう役割で彼の側にいたいなと思います。
「大丈夫、君は悪くないよ。だってわざとじゃないもんな。相手を傷つけるつもりもなかったもんな。絶対に攻撃はさせないから、なんかされそうになったら守るけん。その石は置いてくれるか?」
彼にそう伝えると、彼はナイフを置いて、私と…そして、相手の話を聞きはじめたのでした。
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