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2022年3月23日水曜日

アレルギーのある子どもへの関わり【子ども理解】

 みなさんは、アレルギーのあるお子さんと関わったことはありますか?

命に関わることなので、その対応は神経を使います。

「(アレルギーを引き起こすものを)食べさせてしまわないように」

という対応はもちろん必要です。

子どもの命や健康を害するわけにはいきません。

しかし…

それだけを考えればいいのでしょうか?

以前、アレルギーのある女の子がいました。

ただ、彼女のことで最も気になったのは、「アレルギーが…」というより、その表現の乏しさでした。

動きも…表情も…

無邪気で好奇心旺盛で…いわゆる、”子どもらしい子ども”の姿が見られなかったのです。

「彼女の胸の内には言葉にならない色んな思いが詰まってるんだろうな」と思いました。

そして、その思いが表現されないのは、もしかしたらアレルギーが関係してるのではないかなと思いました。


子どもは、大きくなると「自分」と「みんな」を”対(つい)”にして比較する…比べる力が育ちます。

みんなとの”違い”に敏感になっていきます。

「みんなは〇〇な”のに”、わたしは△△」
「わたし”だって”!」

なんて気持ちも生まれます


彼女はこの”のに””わたしだって”がいっぱい溜まっていて…

でも、アレルギーという、どうしようもないことがあって…

”諦めて”しまうしかないことがある

もしかしたら、そんな「諦め」が彼女のそんな姿につながっているんじゃないかなと思いました。

『食べることは生きること』

1日2,3回、毎日毎日必ず向き合わないといけないことです。

それが、自分の願うように叶わないことはどれだけしんどいことなのでしょう…


私は、彼女の食べ物に対してのそんな”のに”を昇華し、”わたしだって”を叶えたいなと思いました。

アレルギーのある子は何人かいましたが、おやつやクッキングのメニューを考える時には

「◯◯はこの食材はアレルギーがあるからどうしようか?」

「何を食べたいかな?何を用意しようかな?どう作ろうかな?」

と、当たり前のようにアレルギーのある子どもたちのことを考えながら、食べるものを考えていきました。

「牛乳の生クリームは使えなくても、豆乳の生クリームを使えばいい」

「牛乳も卵も小麦も使わないスポンジだってどうにかつくればいい」

「どうしても食べれないものを出すしかない時には、その分特別に”いいもの”を食べれるようにしよう」

そうやって、彼女(を含むアレルギーのある)子どもたちの思いを聞いて、子どもたちと一緒に考えながら、彼女の食べ物への願いは最大限叶うようにしていきました。


ある日、子ども達が「レストランごっこ」をしていました。

レストランの入り口には写真の看板があります。

そこには

「アレルギーの方はお知らせください。」

と書いています。

遊びの中に自然と表れるほど、アレルギーのある人はあたり前にいて、その人たちのことを考えることはあたり前になる…そんな暮らしを子どもたちと送ってきました。

 彼女も「〇〇が食べたい!」と食べ物に対して”わがまま”を言えるようになっていきました。



 







そんな彼女が6年生になった時。ある事件が起こります。

修学旅行を間近に迎えた彼女が『修学旅行のしおり』を持って帰ってきました。

普通なら嬉しい楽しい修学旅行…

のはずですが、彼女はとっても苦々しい表情…どころか怒っているようです。


そんな彼女は、大切なはずの『修学旅行のしおり』を私に向かって勢いよくぶん投げてきました。

 私はそのしおりを拾って「どうしたん?」と尋ねました。

すると彼女は『しおり』の、あるページを開きます。

それは『スケジュール』のページ…

そのページの『夕食』のところのメニューを指さしながら彼女はこう言いました。


「なべこれ見て!!」

「みんなは(デザートに)ケーキ食べれるとよ!」

「うちだけみかんよ!!」


彼女だって”みんなと同じ”ようにケーキが食べたいのです。 

「アレルギーがあるから自分だけ食べれないの?」

「自分にはみんなと同じものを食べる自由がないの?食べる権利はないの? 」

なんて、とっても悲しくて悔しくて歯痒い思いをしたのでしょう。

彼女が小さい頃抱えていた思いもきっとこれなんだと思いました。

彼女だけでなくアレルギーのある子どもは皆、このような思いを抱えているのではないかと思います。


アレルギーのある子どもへの対応で、アレルギーを引き起こすものを食べさせないことは大切です。

しかし、それだけでは「みんなと同じように食べられない」現実だけが突き付けられ、生きることがとっても悲しく、侘しいものになってしまいます。

「私だってみんなと同じように、同じものが食べたいんだ」

「もっと自由にいろんなものを食べたいんだ」

そんな思いを汲み取りながら、できるだけ…最大限、食べたいものをみんなと同じように自由に食べれる喜びを感じられるようにしたいなと思うのです。

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