「やさしい子どもに育ってほしい」
親でも…保育士等の「先生」と言われる仕事をしてる人でも…
誰もが、子どもにこんな願いを持っているのではないでしょうか?
もちろん、私も同じです。
しかし…そんな風に思っているからこそ、子どもが誰かを攻撃してしまった時に許せなくて「なんでそんなことをするの!ダメでしょ!」「人にはやさしくしなさい!いつも行ってるでしょ!」とつい『禁止』や『要求』が先に立ってしまいます(><)
そして、言えば言うほど子どもはなぜかやさしくならないという悪循環…
今回は、そんな状況の助けになればと、ある子が教えてくれた「やさしさ」を発揮するための土台について、ちょっと書いてみます。
さて、そのある子とは1年生の男の子
彼は…
手が出ます
足も出ます
口も悪いです
私のことなんて「あんた」よばわりでした( ̄▽ ̄)(笑)
彼が同級生女子の顔面をストレートでパンチをしたことを今でもよく覚えていますが、その時は「果たして学童で彼に対して何をどうしたものか…」とすっごく考えて悩みました。
実は、彼のお母さんも「迷惑かけるかもしれません…」と、とっても不安なようでした。私は、お母さんがそんな風に思ってしまっていることをとっても心苦しく感じてもいました。
さて、そんな彼が、何日もかけ写真のような『立体パズル』を根気強く作っていた時がありました。
「大変でもめげずに…諦めずに…取り組んで、その喜びや手応えをたっぷり感じてほしい」
「そんな体験を支えに、ちょっとやそっとじゃ折れない自分になってほしい」
そんな願いを持って、私は彼の行方を見守り、彼を支えようと思っていました。
パズルはいくつか種類があったのですが、1つ目に作り始めたパズルは途中でパーツが足りないことに気付き断念…するも、パーツが足りているパズルを発見した彼!
彼は再び挑戦すると、それを完成させました!
そのパズルを”棚の上”に置いていた彼。
そんな彼に悲劇が訪れます。
なんと、彼がパズルを置いていた棚に子どもがぶつかってしまい…彼の作ったパズルは落ちて壊れてしまったのです(><)
それから数十分後…
彼が楽しみにしていた『スライムづくり』を始める直前に、そのパズルを見つけた彼。
そのショックは相当なものでしょう。
手が出て何か投げてしまっても…
足が出てパズルを潰してしまっても…
「これ誰が壊したとや!」なんて、口が出て文句を言ってしまっても…
そんなことがあってもいいと覚悟をしていました。きっとそんなことをするであろう彼を想像しました。
ところが…
彼は文句の1つも言わず、もう1度作り直し始めたのです。
そんな彼に
「それさっきさ…ある子がぶつかって落ちてしまったんよね~。悲しかったろ?でも頑張ってるね。」
と声をかけると、彼は
「まだお母さんに見せてない。」
「1回も見せてないけん。『見たい』って言うかも。」
と言いました。
彼は、「お母さんに見せたい!」と頑張ってつくっていたのです。
なんと健気なのでしょう。彼はそれだけお母さんが大好きで、喜んでくれるのを見たいんだろうな~と思いました。
その後、もう1度取り組んで完成させた彼は、さっきの二の轍を踏まぬように棚の上ではないところに乗せようと思って、私に「置くとこがないけん…(どうしたらいい?)」と相談してきました。
そこで、お椀に入れて特別に指導員デスクに置いてとっておくことにして「お母さん来たら絶対見せるとよ!忘れんようにね!」と伝えました。
さて、その後は、彼も楽しみにしていた『スライムづくり』の時間がやってきました。
彼は「めっちゃ楽しいーーー!」と言いながら、それはそれは楽しそうにスライムのボールを作りました。私も「きれいにできたねー!さっきのパズルの玉と合わせてお母さんに見せるのが2つできたね!」と伝えました。
さてさて、そんな風に楽しくて充実した時間を過ごした後の『片付け』の時間のこと…
ある程度片付けが終わり、あぐらをかいて座っている私の肩に乗ってきて『肩車』をされていた彼。
すると、そこへ1年生女子が来て「これどうしたらいい?」と聞いてきました。
そんな彼女に「(コップの縁に)ゴムつけて縛ったら?」と伝えると彼女はゴムを探しに行きました。
その途端、急に私の肩を降りた彼。
彼は彼女のところへ駆けつけると、近くに落ちていた輪ゴムを拾って「はいっ!」と彼女渡したのです。
そして、彼は何事もなかったかのようにすぐに戻ってきてまた、私の肩に乗ってきました。
私はそんな彼に「優しいね~。ありがとうね~」と伝えて、私からは見えない彼の頭をなでなでしました♡
このエピソードの後、彼がわざわざゴムを拾って渡してくれたのはなんでなのでしょうか?
と考えました。
しかも、「自分が頑張って作った作品が壊れるという大ショックがあった」にも関わらず…です。
私は、その理由は、大きく2つあるのはないかと思います。
私は、彼の「パズルをつくりたい」という気持ちや、「壊れたショック」へ、そして「お母さんに見せたい」という気持ちに「共感」し「寄り添い」ました。
おそらく彼は「この人は自分のことを見てくれている、分かってくれている」と感じて「心が”温かさ”で満たされていた」ように思うのです。
また、『パズル』や『スライムづくり』のような、彼が「楽しい!!」と充実する時間と活動があって、そのような「心が”明るさ”で満たされていた」と思います。
この、”2つの満足”があったからこそ、彼の「優しさの花」が開いたんだろうと思います。
「『温もり』と『明るさ』を受け取っている」からこそ「人にあげることができる」
そんな風に思いました。
もしかしたら、彼のお母さんのように、目の前の我が子の姿に「我が子が迷惑をかけるかも…」と不安なお母さんがいるかもしれません。
私は、彼のお母さんに
「手が出てしまう彼もいるかもしれない…でも、人を助けてくれる彼だってちゃんといるんですよ。大丈夫ですよ」
と伝えました。
同じ言葉を、そのようなお母さんにもいっぱい伝えたいと思っています。
大丈夫、誰だって”やさしさのつぼみ”を持っています。
そして、やさしさを発揮するための土台があれば、誰だって必ずやさしさの花を咲かせるのです。
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